小陰唇縮小術(婦人科形成)の概要
肥大した小陰唇の余剰皮膚分を切除しこの形態を整える手術が、小陰唇形成です。
小陰唇の縫合は、形成外科的に行われるため、とても綺麗に仕上がります。
小陰唇が大きすぎる(小陰唇肥大(小陰唇が外に出ているくらい大きい))ことや、左右の形態が異なるなど、他人には相談しにくい部位であることもあり、密かに悩んでいる方が意外に多いようです。
小陰唇の大きさや形状などについて婦人科で相談したけど、まったく相手にされなかったということもあるようです。
女性器の形態形成には、形成外科でのカウンセリングをお勧めします。形成外科専門医は、人体の体表面のあらゆるコンプレックスに対応しています。
女性器も体表面の構造物であれば、その形成手術は我々形成外科専門医の適応範囲といえます。
小陰唇縮小術(婦人科形成)の適応
- 小陰唇が大きいと感じ、それを縮小したいと思う場合(小陰唇肥大)
- 小陰唇の左右差が気になる場合
- 小陰唇の黒ずみが気になる場合
- 小陰唇のシワが多く不潔になりやすいと感じた場合
- 他院で小陰唇縮小手術を受けたが、傷痕やデザインが美しくない場合
- 小陰唇の傷跡修正
小陰唇縮小術(婦人科形成)の欠点と利点
小陰唇縮小術のメリット
小陰唇縮小術のメリットは、術後2〜3ヶ月もすれば手術したことも分からないほど、傷痕が綺麗になることです。
小陰唇縮小術のデメリット
小陰唇縮小術のデメリットとして、2〜3日間はタイオーバーが必要な為、不便を感じるかもしれません。
小陰唇縮小術の術後経過とアフターフォロー
小陰唇縮小術の手術後1時間ほど休息していただき、出血等が無ければ帰宅できます。
シャワー浴は、手術翌日から可能です。専用の消毒剤と抗生剤ローションで清潔に保ちます。抜糸後は入浴も可能になります。
セックスは、術後1カ月程度で可能になりますが、診察してからにしましょう。
小陰唇縮小術の手術の詳細情報
施術時間 | 90分程度 |
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施術後の通院 | 術後2日後に消毒、タイオーバ-を外す。14日後に抜糸 |
腫れについて | 抜糸までは腫れが続きます。1〜2ヶ月後に徐々に赤みと固さがでてきますが、3〜6ヶ月後には落ち着きます |
カウンセリング当日治療 | 基本的に不可。感染症の血液検査結果があれば可能 |
入院の必要性 | 不要 |
麻酔 | 局所麻酔 |
リスク(合併症・副作用 等)
- 感染
- 細菌やウイルス等による炎症。
- 血腫
- 術後、皮下や臓器からの出血が起こり、血液が貯留することです。
- 出血
- 術後やや多い量の出血を見ることです。
- 内出血
- 術後概ね起こる皮下の血液の組織への浸透で、自然に吸収されます。
- 瘢痕(創跡)
- 全ての皮膚切開創は、多少の傷跡が残ります。肌質的に目立つ人もいます。
- 肥厚性瘢痕(ケロイド)
- 傷跡の中でも、膨らみや硬さが強いものです。原因は、遺伝性のため術前には防御することができません。ただし、治療法がございます。
- 色素沈着
- 瘢痕の一つですが、色素(メラニン)の沈着が主な原因です。
- アレルギー
- 薬剤が原因のものが多いのですが、金属やテープ等でも発症することがあります。
- 予定形態との差
- なるべく患者さまの意見はとりいれるようにしますが、完全な表現は無理がある場合があります。
- 微妙な左右不対称
- 人間の体は左右不対称であるため、手術後にも左右不対称は起こりえます。
小陰唇の過小変化
小陰唇部の皮膚壊死
小陰唇縮小術の手術費用
項目 | 金額 (消費税込) |
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小陰唇縮小・形態修正 | 440,000円 |
会陰肛門形成加算 | 165,000円 |
陰核包皮・副皮切除加算 | 165,000円 |

アフリカのホッテントット族(コイコイ人)の女子は、子供の頃から小陰唇をひっぱり、これを長く伸ばす習慣がありました。形態を男子の性器に近づけるのが目的かもしれません。
これをホッテントットの「前垂れ」といいます。
だからといってホッテントット族の女子が生活に不自由したという話しもありません。
したがって小陰唇の大きさは、形態の善し悪しは別としても女性器の機能には関係無いとされています。
つまり、小陰唇が大きかろうとこれは異常ではないということです。
小陰唇縮小術の手術の実際
小陰唇縮小術の手術のポイント
- 術後出血防止と腫れの抑制にタイオーバーを施すこと
- 縫合は中縫合に2〜3カ月で溶解する溶解糸を利用し、外縫合は抜糸を行うモノフィラメントナイロン糸の細いものを使い丁寧に縫合する
- 外尿道口から小陰唇の縫合端までは、少なくとも2cmは残す
- 小陰唇切除部分は、裏表の距離が同じになるようにデザインを気をつける
- 術後の小陰唇に左右差がでないように、麻酔前に丁寧にデザインを施す
- クリトリス包皮上の皮膚の形態形成は、意外と大切である
- 小陰唇切除におけるデザインでは、丸みをおびた辺縁を作ることが美しさにつながるが、意外に難しいためやや極端な弧をデザインすべきである
小陰唇縮小術のデザイン
小陰唇縮小術では、肥大した小陰唇を自然なハート型になるようにデザインします。
このとき、外尿道口よりおおよそ2cmほど小陰唇を残すようにします。切除が多すぎると排尿時にオシッコが思う方向に飛ばなくなります。
切開のデザインは陰核包皮、陰核の脚、腹部に続く大陰唇との境に注意し自然な形になるように考えます。左右対象にすることも大切でしょう。
小陰唇を縮小する手術は、一見簡単に見えます。ところが実際はとても難しいデザインの要素が詰まっています。
さらに、小陰唇の辺縁は以外にカーブの丸みをしっかり付けないと出来上がりが美しくないのです。
また、小陰唇の切除デザインは超立体裁断の極めです。慣れている形成外科医でないと美しい縫合は難しいかもしれません。
小陰唇縮小術の実際
小陰唇縮小術では、まず個人個人の形に合わせた複雑なデザインを行います。ハート型やアップル型が美しいとされています。

小陰唇を丁寧に縫合します。これにより、術後の変化を防ぎます。
縫合が終了するとタイオーバーを施します。小さなガーゼの塊を切除した後の小陰唇に裏表で縫い込みます。術後出血や腫脹を防止するためです。
溶ける糸 V S 溶けない糸
女性器の手術では、術後の抜糸が不要な溶解糸を使用する傾向にあるようです。はたしてこれは良いことなのでしょうか?
溶解糸(ようかいし)は、比較的早期に溶ける(3〜4週間)バイクリル系と比較的長く存在する(3〜4カ月)PDS系に分けられます。皮膚や粘膜の中を縫合する場合は、糸は外に出てきません。したがって、縫合部の張力を長い間維持するのには、PDS系溶解糸は大変適しています。
しかし、外側を縫合する場合は、糸が外に出てきて、皮膚や粘膜を圧迫するのです。そのため早期に溶けるバイクリル系の糸を使っても3〜4週間も傷痕を圧迫するため、傷に対し細かい横線が多数できてしまい醜いものです。これを「ステッチマーク」とよんでいます。
溶けないモノフィラメントナイロン糸を使うと予定期間で必ず抜糸しますので手間はかかりますが、ステッチマークは残りにくいのです。
つまり、面倒でも外縫合は溶けない糸(モノフィラメントナイロン糸)を使用すべきなのです。
小陰唇縮小術の術後の傷痕が汚いのは、もしかすると溶解糸を使用するのが原因の一つかもしれません。