はじめに

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酒井形成外科院長の酒井倫明と申します。

形成外科専門医・指導医の資格を保持しています。わたしの日々の診療は形成外科治療が主になります。つまり、形成外科特有の縫合技術を基に、形成外科領域の病気や怪我の手術治療をするばかりでなく、美容外科の治療も行っています。特に美容外科は手術後の傷跡が極めて奇麗でないと成功したと言えないので、形成外科の技術が必須な診療科目なのです。

さて、一般の外科手術では、ある程度決まった手術法があり、多くの外科医はほぼ同じ手術を行うものです。消化器の手術も、呼吸器外科の手術も、心臓外科、脳神経外科でも概ね決められた手術を行うのが習わしです。

もちろん、時々、新しい手術法が開発され、学会で報告され、他の専門医がそれを習得した上で新しい手術法が生まれることもあります。しかし、これもある時間を得て一定の方法論として、学会誌や教科書に記載され、多くの外科専門医が模倣していくわけです。

ところが、形成外科、とりわけ美容外科では、一般論が示す定型手術は「ない!」事が多いと言えます。基本技術はありますが、これを元に、個人の感覚で手術を行うと無数の方法があり、その良し悪しは結果論だけで判断され、特にこれでなければダメという方法がないのです。

これは、電気製品の組み立てや修理、あるいは車の生産や修理が決まった工場で決まった方法で作業されるのに対し、彫刻や絵画といった芸術品は作者の意図だけで完成されるのに似ています。つまり、一般の外科は工業製品に例えられるとしたら、美容外科は芸術品に例えられると思うのです。

美容外科では、患者様の希望は一定ではなく、多様性に富んでいます。それを叶えるのに一定の手術法では同一の結果しか出せません。そこで、形成外科専門医である術者は、いろいろな技術を組合せ個性を出せる手術結果を出そうとするのです。例えていうなら、そこに紡ぎ出される結果は作者である形成外科専門医の作品とも言えるのではないでしょうか。

例えば、二重まぶたの手術をおこなったとして、患者一人一人に対し固有の手術、微妙に異なった手術をおこなっているわけで、一つとして同じ手術は無いのかもしれません。

この、ブログでは、私が出会った数多くの患者様の訴えや疑問、そして私が出した結論的な手術法を徒然なるままに、時間を見計らい書き下ろしてみました。興味がある方へ、すこしでも参考になればと願っています。