メディカルスキンケアには、クリニックに通って施術を受けることと、クリニックで薬を投薬してもらい、家で定期的に行うホームスキンケアがあります。
クリニックに行って、医師の管理下で治療を行うことはもっとも効果があります。しかし、毎日それを行う事は難しいですよね。
そこで、クリニックや病院で処方してもらった薬を利用し、肌のお手入れやスキンケアを自宅で行うことができるのです。その上で、時々クリニックで治療を行えば、相乗効果でとても良い結果が得られるはずです。
今回は最近人気が急上昇してきた、自宅で行う医療用スキンケアシステム、ZO SKINHEALTH のお話をしましょう。
みなさん、ドクターオバジという名前をどこかで聞いたことがありませんか?
彼はアメリカのハリウッドセレブ御用達のスキンケア専門医です。ZOスキンヘルスとは、このスーパードクターのお名前 Dr. Zein Obagi の頭文字をとって名付けられました。
ちょっと知っておきたい、お薬の豆知識です。
日本での医薬品の販売に関しては薬事法でしっかり管理され、売り手は制限されています。
薬品を管理しているお役所は「厚生労働省(厚労省)」です。
お化粧品や石鹸、洗剤、あるいは食品に類するものは、その売り手はだれでも良く、また、販売場所も制限されていません。
しかし、副作用が懸念される医薬品に関しては、一部を除き医師が処方箋で管理することになっています。
ドラッグストアーで売られている「風邪薬」や「整腸剤」などはだれでも購入できますが、それは売り手が薬剤師だからです。しかし、抗生剤やステロイド剤など、医師が患者の症状や病状に合わせ、説明をした上で処方するものは、医師との対面(診察)が必要です。これらのお薬は第1種処方薬といわれています。
ZOスキンの種類の中には、この第1種薬剤が含まれているため、医師の診察、診断、処方が必要になるのです。
20年ほど前、私は、私の師匠の1人である当時皮膚科の大御所であった戸田医師にトレチノインとハイドロキノンによるシミ治療法を伝授してもらいました。この治療法は当時としても決して新しい治療法ではなく、1970年代に東京大学で行われていたレシピによるものでした。
この頃のレーザー機器はものすごく高価でとても一般のクリニックが保持できるものではなく、我々にとって効果のあるシミの治療はこのハイドキノン・トレチノイン療法以外ほぼ皆無でした。
こんな中で、トレチノイン・ハイドロキノン・ステロイド治療は驚くほどの効果を示したといわれています。
とはいえ、この治療法、場合によってはシミが取れるどころか、それが傷跡になるような大きな副作用が存在していので、かなり慎重に処方する必要があり、当時の私はビビりながらこれらのお薬を使っていたことを思い出します。
当時を振り返れば、冷凍されたトレチノインの試薬を乳鉢で砕き、微量天秤で重さを測りながら所定の基剤に混和させ0.1%の私製トレチノインを作成していました。ハイドロキノンも試薬を希釈し、5%と10%、20%のものを作成していました。当初は基剤が荒く、使い勝手がとても良いとはいえない代物でした。
施術した患者様からも、皮膚が真っ赤になる、皮膚がボロボロになる、かゆみや痛みがでる、といった、クレームばかりで、この薬を続ける方はわずかな方達だけでした。その、わずかな患者様の皮膚の変化は驚くものがあったため、かろうじて私はトレチノイン・ハイドロキノン・ステロイド療法を捨てずに入られました。
こんな、症例がありました。
当院でレーザー治療を行なっていた患者様があるときやけどをしてしまったのです。レーザーのパワーも照射の仕方も以前と同じだったのですが、おそらく、レーザーの機械自体の異常がでてしまたったためと考えられます。残念なことにその後、かなりの色素沈着をおこしてしまいました。
もしかすると、訴訟問題に発展するのではないかと、大きな危惧をいたきながら、ものは試しといっては何ですが、とにかく藁をも掴む思いで、トレチノイン・ハイドロキノン療法を試みたのです。もちろん、この患者様の努力もあって、数ヶ月後には色素沈着がかなり改善しました。私は胸をなでおろすとともにかなりの驚きを経験しました。
この患者様はその後もハイドロキノン単体療法、時間をかけてトレチノイン・ハイドロキノン療法と治療を続けたのです。すると、1年後には、20年前の皮膚(患者様がおしゃっていた表現です)に戻るほど、シミがなくなり、皮膚のハリツヤが戻ってきたのです。
さて、私はこの2年後にオバジニューダームに出会います。
オバジニューダームはオバジ医師をかかえる製薬会社がオバジ医師の名前を冠して、米国で発売されていたスキンケア薬品です。当時としては、決して派手ではなく、いかにも医師の調剤する医薬品感漂う中に、ちょっとしたオシャレ感のある容器が私たち日本の医師には新鮮に見えました。
これらは、セット販売で、洗顔料、化粧水、とともに2種類のハイドロキノンを含むクリーム製剤です。問題点はトレチノインが、推薦される他の製剤を使うか、または、自家調剤しなくてはならないことと、オバジニューダームセットがおもったより高額だったことです。
このシリーズではハイドロキノンも4%と低く、トレチノインを0.05%とすれば、かなり副作用がおさえられ、ステロイドも必要なくなったため安全性は高まりました。
価格が高価だったので、私はあえてセットでの販売を止め、1種類のハイドロキノン製剤(ミラミクス)、と私が調剤するナノトレチノイン0.05%だけで効果を試してみました。
これが、当時のオバジニューダームセットの価格の1/4の価格で、ほぼ同程度の効果を生んだのです。
その後、オバジ医師は自分の製薬会社を立ち上げます。
オバジ先生が前に所属していた製薬会社の商標登録があるため、オバジの名称は使用できず、彼の商品も「ZO」と名付けられました。
ZOシリーズになってからは、価格もかなり下げられ、また、薬品の使い勝手も格段と上がりました。
私は、基本的に、朝は私が調剤した活性化ビタミンCローションのみとし、夜就寝前に私の調剤したナノトレチノイン0.05%とZOのハイドロキノン(ミラキックス)の使用をさせています。
物足りないと感じた方には、朝、晩、別のタイプのハイドロキノン(ミラミン)を足して使用させています。
【ミラミックス】
【ミラミン】
【サカイ・トレチノイン】
ZOを使用した、酒井形成外科のトレチノイン・ハイドロキノン療法は18週間のプログラムです。お薬を毎日使うと肌の調子が厳しすぎるという方は、1日おき、または週に3〜4日の使用後3〜4日休薬させます。
18週間を経過した方は、トレチノインを休薬させます。場合によっては現在厚労省の薬事承認のあるディフェリンとミラミックスを使用するかまたはミラミンのみで経過を追います。
【ディフェリン】
みなさん、酒井のトレチノインを使ったZOスキンケア、いかがでしょうか?
私は多くの方に驚きのスキンケア体験をしていただきたいと願っています。
【ZOスキン中】
【ZOスキン後1ヶ月】