脂肪吸引
脂肪吸引とは
脂肪吸引では、皮下脂肪を彫刻で削るかのように左右の差に注意しながら、丁寧に脂肪を除去しながら体の線を作っていきます。
皮下脂肪を十分採りたい所を中心に広範囲に、グラデーションをかけながら、曲線を描出していきます。
脂肪吸引手術では、体の目立たないところに5mmほどの皮膚切開を入れそこから直径1.5~2.0mmのカニューレを挿入します。
利き手でカニューレを操作しながら、他方の手を触手としカニューレの位置を把握します。同時に皮下脂肪を彫刻で削るかのように左右の差に注意しながら、丁寧に脂肪を除去しながら体の線を作っていきます。
脂肪吸引手術では、出血量と手術中の疼痛緩和がとても大切なことです。
手術中は、チュームセントとよばれる、出血予防のカクテル脂肪内注入や全身麻酔による患者さまの全身管理がとても大切な事項といえます。
部分脂肪吸引
広範囲の脂肪吸引手術は、全身麻酔の必要性や入院、回復の時間を考える必要があります。
また、全体的ではなく、一部の皮下脂肪が気になる場合もあります。
そこで、部分脂肪吸引法が役立つことがあります。
部分脂肪吸引法とは、15cm×15cm程度の範囲の脂肪吸引を指します。この範囲を1単位として1回1から4単位程度の範囲で脂肪吸引を行います。
部分脂肪吸引手術は、局所麻下の手術で30分から1時間程度での短時間で帰宅ができます。
術後は軽い包帯圧迫をしますが、手術次の日からはサポーターの使用が便利です。
念のため術後1週間程度に診察を行っています。
部分脂肪吸引法例
- 上腕: 2から4単位
- 太もも内側: 2単位
- 太もも外側: 2から4単位
- 上腹部: 1から2単位
- 下腹部: 1から2単位
- 側腹部等: 2から4単位
脂肪吸引の手術の欠点と利点
脂肪吸引のメリット
脂肪吸引のメリットは、メソセラピーや体外式痩身施術と異なり、しっかり結果を出せることです。
脂肪吸引のデメリット
脂肪吸引のデメリットは、やや大きな手術となることもあり、回復や落ち着くまで時間がかかることです。
また、広範囲の脂肪吸引手術では、脂肪の抽出と共に出血を伴いますので貧血がある場合は、手術を控えねばなりません。術前の全身の血液検査等はとても大切です。
皮下脂肪の役割
動物は簡単に食物が得られないことがあります。そのため食べれる時にできるだけ栄養素を皮下に貯めれるようになっているのです。そうして、食物が無い時にこの皮下脂肪からエネルギーを得ているわけです。つまり、皮下脂肪は生きていくためのエネルギー貯蔵庫なのです。
日本には食べ物が溢れていて、飢饉に陥ることは希です。そのため本能の赴くまま食事を摂れば、当然皮下脂肪が溜まり「デブ」になってしまうわけです。
つまり、皮下脂肪は栄養の貯蔵庫であるとともに、高脂血症など病気のにならないための緩衝機能の働きがあるのです。
食事を摂ると血糖や血液コレステロールが血管内に多くなります。これらはホルモン等の作用で変化し皮下脂肪という貯蔵庫に溜まるわけですが、この作用のため血液の中の油や糖が減少し一定の値になるわけです。
そのため食事ダイエットを考慮せずに、脂肪吸引を進めてしまうと、油の貯蔵庫が少なくなり、結果、血液の中性脂肪が上がってしまうのです。そうすると血液はドロドロになり、脳血栓や心筋梗塞の原因になりかねません。
脂肪吸引を繰り返し、美しい体形を得るのは良いのですが、食事ダイエットも忘れてはなりません。そのためには、定期健康診断でご自分の血液の状態を把握することが大切です。
脂肪吸引の術後経過とアフターフォロー
顔以外の脂肪吸引の場合
脂肪吸引の術後4~5日は、特殊包帯法により体のラインを作っていきます。その後専用のガードルもしくはサポーターを1~2カ月着用してもらいます。
脂肪吸引による腫れは、術後2週間程度かなり腫れます。そのため包帯やガードルの跡がついたり、凸凹感が目立つことがあります。しかし、自然に軽快していきます。
ガードルは、術後2カ月はしっかり着用していただきますが、皮下が硬くなったり皮膚の感覚が「はばったく」感じたり違和感を伴う時期です。
脂肪吸引による腫れも、術後3~4カ月するとようやく落ち着きはじめ、皮膚の硬さや感覚障害も改善していきます。体のラインもやっと落ち着いて来る頃です。
カニューレの傷跡は6カ月ほど赤みや硬さがありますが、1年くらいで殆ど消失し、気にならなくなるでしょう。
術後のマッサージは必要ありません。
顔の脂肪吸引の場合
顔の脂肪吸引では、術後フェイスバンドを2〜3日軽く巻き、その後は開放とします。洗顔洗髪は手術次の日から可能です。
脂肪吸引による腫れが、1カ月程ありますが、2カ月もすると落ち着いてラインもしっかり出て参ります。
ただ、顔に弛みが出ることもあり、この場合フェイスリフトを計画しなくてはならないことがあります。
顔の脂肪吸引時のカニューレは、耳タブの裏側など目立たない所から挿入します。
また、カニューレの太さも直径1mmと細いものを使用します。そのため、カニューレ挿入の傷跡は殆ど消えてしまうと考えて良いでしょう。
脂肪吸引の詳細情報
施術時間 | 手術範囲により30分〜3時間 |
---|---|
施術後の通院 | 包帯を巻いたとしても1〜2日で外し、フェイスバンドやコルセット、またはサポータを3日〜7日程度着用します。 |
腫れについて | 腫れは、1~2週間程。腫れよりも脂肪吸引した部位に現れる紫斑の方が目立ちます。1~2週間で紫色から黄色へ、1ヶ月で元の肌色に戻ります。 |
カウンセリング当日治療 | 小量であれば可 |
入院の必要性 | 手術部位により必要 |
麻酔 | 手術部位による(局所、静脈、全身麻酔) |
洗顔・洗髪・シャワー浴 | 手術次の日または手術2日〜日後から可 |
酒井形成外科では、点滴によるダイエットやダイエットに最適なサプリメントもございます。ご興味のある方は、酒井形成外科の受付までお尋ねください。
リスク(合併症・副作用 等)
- 感染
- 細菌やウイルス等による炎症。
- 血腫
- 術後、皮下や臓器からの出血が起こり、血液が貯留することです。
- 出血
- 術後やや多い量の出血を見ることです。
- 内出血
- 術後概ね起こる皮下の血液の組織への浸透で、自然に吸収されます。
- 瘢痕(創跡)
- 全ての皮膚切開創は、多少の傷痕が残ります。肌質的に目立つ人もいます。
- 肥厚性瘢痕(ケロイド)
- 傷痕の中でも、膨らみや硬さが強いものです。原因は、遺伝性のため術前には防御することができません。ただし、治療法がございます。
- 色素沈着
- 瘢痕の一つですが、色素(メラニン)の沈着が主な原因です。
- アレルギー
- 薬剤が原因のものが多いのですが、金属やテープ等でも発症することがあります。
- 予定形態との差
- なるべく患者さまの意見は取り入れるようにしますが、完全な表現は無理がある場合があります。
- 微妙な左右不対称
- 人間の体は左右不対称であるため、手術後にも左右不対称は起こりえます。
- 他出血
- 脂肪吸引部の凹凸変形
脂肪吸引の手術費用
項目 | 治療内容 | 金額 (消費税込) |
---|---|---|
部分脂肪吸引1単位(15cm x 15cm) | 165,000円 | |
脂肪吸引 上腕部 | 330,000円 | |
脂肪吸引 顔・あご下(両側) | 300,000円 | |
脂肪吸引 腹部(部分) | 550,000円 | |
脂肪吸引 腹部(全体) | 770,000円 | |
脂肪吸引 大腿部全周・膝周囲 | 1,100,000円 | |
脂肪吸引 ふくらはぎ部 両側 | 440,000円 |
症例1太ももの外側(大腿外側)の脂肪吸引
大腿部がほっそりしました。足をくっつけても内股に隙間ができました。
この症例の価格
大腿全周、膝周囲、脂肪吸引 全身麻酔 入院 モニター 121万円(税込)
この症例のリスク・副作用
感染、血腫、内出血、瘢痕拘縮、表面の凸凹、左右差、アレルギー
症例2顎下、頬の脂肪吸引
顎下から頬の皮下脂肪過多による形態の改善が目的です。耳垂後面からの小切開から細いカニューレを挿入し、顎下、頬の脂肪吸引を行いました。脂肪吸引後包帯で1週間圧迫を続けました。
術前のあご下の皮下脂肪の状態です
術後6ヶ月です。手術直後は包帯でしっかり固定をしました。
皮膚の弛みは殆ど起こりませんでした。
耳介後部3mmほどの小さな切開からカニューレを入れ脂肪を吸引しました。
この症例の価格
顎下、頬、脂肪吸引 モニター 26.4万円(税込)
この症例のリスク・副作用
感染、血腫、内出血、表面の凸凹、左右差、アレルギー、肥満性瘢痕
脂肪吸引手術のポイント
- 腹部や太もも(大腿部)など比較的広範囲の脂肪吸引では、全身麻酔が必須です。
- 痩せたい部分だけ脂肪を吸引するわけではなく、その周囲をグラデーションをかけるように徐々に広範囲の皮下脂肪を吸引していきます。
- 脂肪吸引部位には予めチュームセントという薬液を浸透させて脂肪の吸引を促し、かつ出血を極力抑えるようにします。
脂肪吸引のデザイン
患者さまを立位とし脂肪吸引部位を丁寧にデザインしていきます。地図の等高線のように多く脂肪吸引する場所からグラデーションを表現します。
また、左右均等になるよう吸引脂肪は逐一記録していきます。この記録が分かりやすいように脂肪吸引エリアを決定します。
脂肪吸引時の麻酔
広範囲の脂肪吸引手術では、全身麻酔が基本です。全身麻酔を施した上で、脂肪吸引範囲にチュームセントを専用機械で注入していきます。
カニューレ・プロテクターの装着
脂肪吸引中はカニューレを出し入れするため、カニューレの挿入部の皮膚は損傷を受けます。そのためカニューレの挿入部にカニューレ・プロテクターを装着します。
脂肪の吸引
カニューレを挿入し脂肪吸引を始めます。
カニューレ・プロテクターが、皮膚とカニューレの摩擦を防いでいるため、皮膚を痛めないようスムーズに施術が進められます。
各部位の脂肪吸引の実際
腹部~腰部・上腕部の脂肪吸引
腹部の脂肪吸引では、腰のくびれを十分描出します。腹筋の横面が、うっすらと浮かぶ程度がベストのデザインです。
おへその周りは極めて難しい所です。丁寧に、しかもやり過ぎないことが大切です。
腹部の脂肪吸引では、腰のくびれを十分描出します。腹筋の横面が、うっすらと浮かぶ程度がベストのデザインです。
おへその周りは極めて難しい所です。丁寧に、しかもやり過ぎないことが大切です。
大腿内側~膝内側の脂肪吸引
太ももの内側(大腿内側)から膝内側の脂肪吸引は、患者さまのご希望が多いエリアです。
十分に脂肪吸引を進めていきますが、デコボコ感に注意が必要です。
大腿前面の脂肪吸引
太ももの前側(大腿前面)の皮下脂肪が多い方は、直立で立っていても大腿が前方に丸く膨らんで見えるものです。
これが「ずんぐりむっくり」の体形の基礎になっています。
太ももの内側(大腿内側)と同様、しっかり脂肪を吸引をします。
ただし、決して皮膚をペラペラにしてはいけません。
太ももの前側(大腿前面)の皮下脂肪が多い方は、直立で立っていても大腿が前方に丸く膨らんで見えるものです。
これが「ずんぐりむっくり」の体形の基礎になっています。
太ももの内側(大腿内側)と同様、しっかり脂肪を吸引をします。
ただし、決して皮膚をペラペラにしてはいけません。
太ももの後ろ側(大腿後面)
太ももの後ろ側(大腿後面)は比較的脂肪が少ない場所です。
しかも、お尻を支える靭帯(じんたい)用組織が筋肉の近くに存在するため、脂肪吸引をし過ぎると、お尻が垂れてしまうことがあります。
太ももの後ろ側(大腿後面)は比較的脂肪が少ない場所です。
しかも、お尻を支える靭帯(じんたい)用組織が筋肉の近くに存在するため、脂肪吸引をし過ぎると、お尻が垂れてしまうことがあります。
太ももの外側(大腿外側)
太ももの外側(大腿外側)は、筋肉が発育している男性の方では細くする事は殆ど不可能です。しかし、皮下脂肪が多い方はこの部位をしっかり脂肪吸引することによって、足のスタイルが極めて良くなります。
女性の方は男性の方より皮下脂肪が多いので、この部位の脂肪吸引は極めて有効な場合があります。
太ももの外側(大腿外側)は、筋肉が発育している男性の方では細くする事は殆ど不可能です。しかし、皮下脂肪が多い方はこの部位をしっかり脂肪吸引することによって、足のスタイルが極めて良くなります。
女性の方は男性の方より皮下脂肪が多いので、この部位の脂肪吸引は極めて有効な場合があります。
顔の脂肪吸引
顔の脂肪吸引は「顎下」もしくは「法令線よりちょっと上方の頬のごく一部」しか適応がありません。
例えば頬全体を脂肪吸引するなら、必ずフェイスリフトを同時に行なう手術計画を立てないと、老人のように弛むことがあります。
顔の脂肪吸引は「顎下」もしくは「法令線よりちょっと上方の頬のごく一部」しか適応がありません。
例えば頬全体を脂肪吸引するなら、必ずフェイスリフトを同時に行なう手術計画を立てないと、老人のように弛むことがあります。