フェイスリフト手術の歴史
〜今までのフェイスリフトとその歴史〜

初期のフェイスリフト

1970年代、フェイスリフト手術の原型となる手術法が考案される

現在のフェイスリフト手術の原型になる手術法は、1970年代に耳の脇から上方は側頭部に向かって、下方は耳の裏側から頸部けいぶに向かって、傷を隠すように切開を入れる手術法が考案されました。
当初のフェイスリフトは、皮膚を切除するだけの簡易なものだったようですが、効果が持続しないことや傷跡がそれでも目立ったりしたことで改良が加えられ続けました。

fig1.わずかな皮膚剥離しか行わない初期のフェイスリフト手術
fig2.わずかな皮膚を切除するだけの初期のフェイスリフト手術

フェイスリフトでの皮下剥離はくりが狭いとどうなる

フェイスリフト手術での剥離範囲はくりはんいが狭いと手術は簡単になりますが、手術後数ヶ月で皮膚は元に戻ろうとして、耳たぶが前方に移動してしまいます。これに伴い、顔のしわや弛みも戻ってしまいます。
これは、顔の表情筋がその上にある皮膚としっかり癒着しているからなのです。体のほかの筋肉は、皮膚と強い癒着がありません。
顔の表情筋と皮膚が癒着しているため、いろいろな表情を作り出せるわけですね。

ハムラ法によるフェイスリフト

1990年代、ハムラ法のフェイスリフトの手術法

近年フェイスリフト手術に特化した顔面の解剖学も発展していきました。
ハムラ法というフェイスリフト手術は、非常に手が込んでいました。皮下の剥離はくりに続き、SMASスマスと呼ばれる筋肉群の下を剥離はくりし、これを支える深部リガメント(頬骨リガメント、咬筋リガメント、下顎骨リガメント)を切断し、SMASの動きを自由にし、皮膚と同時に外側上方向に引き上げるというものです。

ハムラ法によるフェイスリフト手術の概念図

ハムラ法によるフェイスリフト手術は、SMAS下で深部リガメントを切断し、切断したリガメントの断端に糸をかけて引っ張るという方法です。

fig3.ハムラ法の概念図

ハムラ法の問題点

深部リガメントには、顔面神経の枝が含まれる場合があるといわれています。
ハムラ法では、深部リガメントを切断するわけですので、場合によっては多少の顔面神経麻痺症状があると考えられます。

fig4.顔面下の構造

SMASを皮下で直接、切除縫合するフェイスリフト手術法

Dr.ダニエル・ベーカーのSMAS切除法

① SMAS下には、顔面神経の枝があるためSMASの下は剥離はくりしない

② 皮下を広大に剥離はくり

③ SMASを直接切除縫合する